奥伝

剣術秘傳獨修行(けんじゅつひでんひとりしゅぎょう)

        巻之上    巻之下

著者:  (せんえん)
現代語訳: 坂井 旭 剣道教士七段

   この『剱術秘傳獨修行』は江戸時代の寛政十二年(一八〇〇)に発行された書であり、本書刊行の目的は、本文中に「ひとり修行という事は、勤めに忙しく師について稽古する事が出来ないか、田舎のことで師も友もいない環境か、貧しくて師に入門する事の出来ない人の為に記したもの」とあるように、剱術の一人稽古の意義を明らかにし、その手引書として編述されたものである。
   著者の
園は江戸の人であるが、その伝記は残念ながら詳らかではない。
   下巻の後書きには、次の通り自身の経歴の一端を述べているが
いわゆる剣術家ではないことを明らかにしている。「幼少より此の道を好みて、日夜忘るる事なしと言えども、家貧しくして師について学ぶ事あたわず。旦暮衣食に奔走して、空しく光陰を過す。中年の頃、人の教えに従い、独り修行を思い立て少し其の通を得たるに似たれども、程なく年去り歳来り、今年七十二歳。よう々杖に助けられて日用を達するほどなれば、今は武芸も思い絶たり。その上稽古の年数もなければ、取り留めたる事もなし。」

 

猫の妙術

   前 編    後 編

   著者: 佚斎樗山園(いっさいちょさん)
     現代語訳: 坂井 旭 剣道教士七段

   この『猫之妙術』は江戸時代の享保十二年(一七二七)に発行された佚斎樗山の『田舎荘子』全十巻の一章である。
   剣道の根本義をはっきりと明らかにした不朽の名著であり、従来一刀流の伝書の一つともいわれ、特に山岡鉄舟がこれを愛読し秘蔵 したと伝えられる。
  
さて、著者の佚斎は、もと下総(千葉県)関宿藩、久世大和守の家臣で、本名を丹羽十郎左衛門忠明といい、三百石、旗奉行などをつとめたという。
  
この人は文筆の才に恵まれ、兵学武術のみならず、神・儒・仏の三教にくわしく、また老・荘・禅に造詣が深かった。
   その博学な知識を以て啓蒙的な著作に力を
注ぎ、この『田舎荘子』を発行した後、更に
有名な『天狗藝術論』を世に問うている。

 

秘伝
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